逮捕されたらスマートフォンはどうなる?押収・パスワード・データ解析について解説
はじめに
「逮捕されたらスマートフォンは押収されるのだろうか。」 「パスワードを警察に教えなければならないのだろうか。」 「LINEや写真などのデータはすべて見られてしまうのだろうか。」
スマートフォンには、日常生活や仕事に関する多くの情報が保存されています。そのため、逮捕された際の取扱いについて不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、逮捕後にスマートフォンがどのように取り扱われるのかについて、押収、パスワード、データ解析という3つの観点から解説します。
この記事で分かること
- スマートフォンは押収されるのか
- パスワードを教える義務はあるのか
- パスワードを教えない場合の影響
- 警察はスマートフォンの中身をどこまで確認できるのか
- 弁護士へ相談する重要性
スマートフォンは押収される?
逮捕された場合、スマートフォンは高い確率で押収されます。
警察などの捜査機関は、捜索差押許可状に基づく捜索や、逮捕に伴う手続の中で、事件に関係すると考えられる物を押収することがあります。
スマートフォンには、
- 通話履歴
- メッセージアプリのやり取り
- SNS
- 写真や動画
- 位置情報
- インターネットの閲覧履歴
など、多くの情報が保存されています。
そのため、捜査機関にとってスマートフォンは重要な証拠となる可能性があり、押収されるケースが多いと考えられます。
パスワードを教える義務はある?
警察から、
「パスワードを教えてください。」
「ロックを解除してください。」
と言われることがあります。
もっとも、パスワードを教える法律上の義務はありません。
日本では黙秘権が保障されており、自分に不利益となる供述を強制されることはありません。
そのため、パスワードを口頭で伝えることや、自らスマートフォンのロックを解除することについても、応じないという選択をすることができます。
パスワードを教えないとどうなる?
パスワードを教えないこと自体が犯罪になることはありません。
しかし、実務上は一定の影響が生じる可能性があります。
例えば、事件の内容やスマートフォン内のデータの重要性によっては、
- 証拠隠滅のおそれ
- 関係者との口裏合わせのおそれ
などを判断する際の一事情として考慮される可能性があります。
その結果、勾留が認められやすくなったり、身柄拘束が長引いたりする方向に働く場合もあります。
また、スマートフォンの返還が遅れることもあります。
パスワードが分からない場合、解析が行われる可能性があるほか、関連事件の捜査が終了するまで返還されないこともあります。
解析装置で必ずロック解除されるの?
パスワードを教えなかった場合でも、すべての事件で解析装置が使われるわけではありません。
解析には専門的な設備や技術が必要であり、事件の内容やスマートフォン内の情報の重要性などを踏まえて判断されます。
例えば、
- 性犯罪
- ストーカー事件
- SNS上の誹謗中傷
- 特殊詐欺
- 組織犯罪
- 重大事件
などでは、スマートフォン内のデータが重要な証拠となる可能性が高く、解析の必要性も高くなる傾向があります。
もっとも、解析を試みたとしても、必ずロック解除できるわけではありません。
機種やOS、暗号化の状況、パスワードの設定などによっては、解析が困難な場合もあります。
スマートフォンの中身はどこまで見られる?
ロックが解除された場合には、
- 通話履歴
- メッセージアプリ
- 写真・動画
- 位置情報
- 閲覧履歴
などが確認される可能性があります。
また、状況によっては削除済みのデータが復元されることもあります。
もっとも、ロックが解除されたからといって、必ずスマートフォン内のすべてのデータが細かく調べられるわけではありません。
実務では、事件に関係するデータを中心に確認し、必要なものだけを証拠化する運用も多く見られます。
ただし、警察官がスマートフォンの内容を確認できる状態になる以上、事件と直接関係のない私的な情報が目に触れる可能性はあります。
パスワードを教えるかどうかは慎重な判断が必要
パスワードを教える義務はありません。
一方で、教えないことによる実務上の影響が生じる可能性もあります。
そのため、「教える」「教えない」のどちらが適切かは、事件の内容や証拠関係、今後の見通しなどによって異なります。
一律に正解がある問題ではありません。
警察からパスワードの開示を求められた場合には、自己判断で対応するのではなく、刑事事件に詳しい弁護士へ相談した上で判断することが重要です。
まとめ
逮捕された場合には、
- スマートフォンは高い確率で押収される
- パスワードを教える義務はない
- ただし、教えないことによる実務上の影響が生じる可能性がある
- スマートフォン内のデータがどこまで確認されるかは事件によって異なる
という点を理解しておくことが大切です。
スマートフォンには、本人だけでなく、ご家族や友人、勤務先とのやり取りなど、多くの重要な情報が保存されています。
だからこそ、パスワードを開示するかどうかは慎重な判断が必要であり、迷った場合にはできるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。
YouTubeでも詳しく解説しています
この記事の内容については、YouTubeでも具体例を交えながら解説しています。
逮捕されたらスマートフォンはどうなる?元検察官が解説
スマートフォンの押収やデータ解析、パスワード開示に関する実務上の考え方について詳しく説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。

