示談書にサインしただけでは足りない?本当に評価される示談のポイントを元検察官が解説

はじめに

「示談書にサインをもらえたので安心だ。」 「示談書を検察官へ提出すれば、それで十分だろう。」

そのように考えている方は少なくありません。

しかし、刑事事件では、示談書に署名があることだけで示談が十分に評価されるとは限りません。

検察官は、示談書という書類だけではなく、その示談が本当に被害者の自由な意思に基づいて成立したものなのかを確認することがあります。

この記事では、「本当に評価される示談」とは何か、そのポイントについて元検察官・現役弁護士の立場から解説します。


この記事で分かること

  • 示談で本当に重要なこと
  • 検察官が被害者へ意思確認を行う理由
  • 示談書が評価されないケース
  • 示談交渉で注意すべきポイント

示談で重要なのは「示談書」ではなく「合意」

まず理解していただきたいのは、示談とは単に示談書を作成することではありません。

示談とは、

加害者と被害者が、

  • どのような条件で事件を解決するのか

について合意することです。

そのため、本当に重要なのは、

  • 被害者が内容を理解していること
  • 内容に納得していること
  • 自由な意思で合意していること

です。

示談書は、その合意内容を証明する重要な書類ですが、示談書だけで十分というわけではありません。


検察官は示談書だけを見て判断しない

示談書が提出されると、検察官は被害者本人へ電話などで意思確認を行うことがあります。

確認される内容は事案によって異なりますが、例えば、

  • 本人が署名したのか
  • 自分の意思で署名したのか
  • 示談書の内容を理解していたのか
  • 示談金を実際に受け取ったのか

といった点を確認することがあります。

これは、示談書という書面だけでは、被害者が本当に納得して合意したのかまでは判断できないためです。


なぜ被害者へ意思確認をするのか

示談書に署名があっても、

  • 内容を十分に理解していなかった
  • 強く迫られて仕方なく署名した
  • 示談書に署名しても処罰を望まないことになるとは思っていなかった

というケースがあり得ます。

そのため、検察官は被害者本人へ直接確認し、示談が真意に基づくものかどうかを慎重に判断します。


示談が真意に基づかないと判断された場合

起訴前の場合

起訴前であれば、示談は起訴・不起訴を判断する際の重要な事情になります。

しかし、被害者への確認の結果、

「自由な意思による示談とは認められない」

と判断されれば、示談書が提出されていても、その効果は限定的になります。

その結果、不起訴方向へ働く事情として十分に評価されない可能性があります。

起訴後の場合

起訴後には、弁護人が示談書を量刑資料として裁判所へ提出することがあります。

もっとも、刑事裁判では、書類を証拠として提出するためには、原則として相手方である検察官の同意が必要となる場面があります。

検察官が被害者へ確認した結果、

「真意による示談ではない」

と判断した場合には、示談書を証拠とすることに同意しないことがあります。

その結果、示談書自体を証拠として提出できず、裁判で示談を立証することが難しくなる可能性があります。


示談交渉で注意すべきポイント

被害者へ強引に働きかけない

示談を急ぐあまり、

  • 何度も電話をする
  • 自宅へ押しかける
  • 家族や知人を通じて繰り返し連絡する
  • 一方的に期限を区切って返答を迫る

といった対応は避けるべきです。

このような対応によって被害者が恐怖や迷惑を感じ、

「本当は示談したくなかった。」

と後から説明すれば、示談の信用性が損なわれる可能性があります。


示談書は分かりやすい内容にする

示談書には「宥恕(ゆうじょ)」という言葉が使われることがあります。

しかし、「宥恕」という法律用語の意味を十分理解していない方も少なくありません。

そのため、

「被害者は加害者を許し、処罰を希望しません。」

など、一般の方にも分かりやすい表現を用いたり、内容を十分説明した上で署名してもらったりすることが重要です。

また、示談成立後には検察官から被害者へ意思確認の連絡がある場合があることも事前に説明しておくと、その後の確認が円滑に進むことがあります。


まとめ

示談書は刑事事件において重要な書類です。

しかし、本当に重要なのは、

被害者が内容を理解し、自由な意思で示談に合意していることです。

そのため、

  • 強引な示談交渉は避ける
  • 示談書は分かりやすい内容にする
  • 内容を十分説明した上で署名してもらう

という点を意識することが大切です。

示談では、「署名をもらうこと」自体を目的にするのではなく、「被害者の真意に基づく合意を適切な方法で成立させること」を目指すことが、結果として刑事手続においても適切な評価につながります。


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示談書にサインしただけでは足りない?

元検察官が教える示談の重要ポイント

https://youtu.be/k9gNf9I_t_A

検察官による被害者への意思確認や、示談書が十分に評価されるためのポイントについて、元検察官・現役弁護士としての実務経験を踏まえて説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。