削除したLINEも警察に見られる?トーク履歴を消すリスクを元検察官が解説

はじめに

「LINEのトーク履歴を削除してしまった。」 「削除しておけば警察には分からないのではないか。」 「スマートフォンを押収されたら、どこまで解析されるのだろうか。」

刑事事件のご相談では、このような質問を受けることが少なくありません。

結論からいえば、「削除したから安心」という考え方は非常に危険です。

削除したデータが復元される可能性があるだけでなく、削除したという事実自体が、その後の刑事手続で不利に評価されることもあります。

この記事では、LINEの削除がどのような意味を持つのか、元検察官・現役弁護士の立場から解説します。


この記事で分かること

  • LINEが刑事事件で重要な証拠になる理由
  • 削除したLINEが復元される可能性
  • 相手側の端末から判明するケース
  • 削除による刑事手続上の不利益
  • 不安なときに取るべき対応

LINEは刑事事件で重要な証拠になる

LINEのやり取りは、多くの刑事事件で重要な証拠になります。

例えば、

  • 事件前後のメッセージ
  • 約束した日時や場所
  • 写真や動画
  • 位置情報
  • 送金や金銭のやり取り

などは、事件の経過や関係者の行動を判断するための重要な資料になります。

実務でも、LINEの内容が事件の重要な証拠となるケースは少なくありません。


削除しても必ず見られなくなるわけではない

「LINEを削除したから、もう警察には見られない。」

そのように考える方もいますが、必ずしもそうとはいえません。

スマートフォン上で削除したとしても、

  • データの断片が端末内に残っている場合
  • バックアップデータが残っている場合

には、解析によって復元できる可能性があります。

復元できるかどうかは、

  • スマートフォンの機種
  • OSの種類やバージョン
  • 削除後の利用状況
  • バックアップの有無
  • 当時の解析技術

など、さまざまな事情によって異なります。

そのため、

「必ず復元される」

とも、

「絶対に復元されない」

とも言い切ることはできません。

しかし、「削除したから安心」という考え方は避けるべきでしょう。


相手側には履歴が残っていることもある

仮に、自分のスマートフォンから完全に削除できたとしても、それで安心とはいえません。

LINEは相手とのやり取りです。

相手のスマートフォンには履歴が残っていることがあります。

また、

  • スクリーンショット
  • 第三者への転送
  • バックアップデータ

などから内容が判明するケースもあります。

自分の端末だけを操作して、やり取りを完全になかったことにすることは現実には困難です。


焦って削除すると手続上不利になることがある

事件への関与を疑われると、証拠を消したくなる気持ちになる方もいるかもしれません。

しかし、データの削除は、その後の刑事手続で大きな不利益につながる可能性があります。

身柄拘束が長くなる可能性

削除されたデータの解析には時間がかかることがあります。

その結果、解析結果を待つために勾留期間の延長が必要と判断され、身柄拘束が長引く可能性があります。

接見禁止が付く可能性

事件に関係するデータを削除した場合、

「証拠隠滅を図った」 「今後も証拠隠滅をするおそれがある」

と評価されることがあります。

その結果、弁護士以外の家族や友人との面会や手紙のやり取りが制限される「接見禁止」が付く可能性もあります。

裁判で不利に評価されることもある

裁判では、

「なぜ削除したのか」 「都合が悪い証拠だったのではないか」

と追及されることがあります。

事件後に証拠を消そうとしたという事情は、供述の信用性や反省の有無を判断する一つの事情として評価される可能性があります。


不安なときは削除ではなく、まず弁護士へ相談を

警察から連絡があったり、事情聴取を受ける可能性が出てきたりすると、不安からLINEを削除したくなる方もいます。

しかし、

「警察から連絡があった直後に削除した」

という事実が後から判明すると、かえって状況が悪化する可能性があります。

まず行うべきなのは、

  • 現在の状況を整理すること
  • 今後の取調べへの対応方針を検討すること

です。

そのためには、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。


まとめ

LINEは刑事事件で非常に重要な証拠となることがあります。

そのため、

  • 削除しても復元される可能性がある
  • 相手側の端末から判明することもある
  • 削除したこと自体が刑事手続で不利になることがある

という点を理解しておくことが重要です。

警察から連絡を受けたり、事件への関与を疑われたりした場合には、焦ってデータを削除するのではなく、まず弁護士へ相談し、適切な対応方針を検討することをおすすめします。


関連記事

  • 逮捕されるかもしれないときにやってはいけない3つの行動
  • 警察から取調べに呼ばれたら知っておきたい6つのポイント
  • 逮捕されたらスマートフォンはどうなる?
  • 供述調書とは?署名する前に確認すべきポイント

YouTubeでも詳しく解説しています

この記事の内容については、YouTubeでも具体例を交えながら詳しく解説しています。

削除したLINEも警察に見られる? 元検察官・弁護士が解説

削除したLINEが解析される可能性や、データ削除が刑事手続に与える影響について、元検察官・現役弁護士としての経験を踏まえて説明していますので、ぜひあわせてご覧ください。